鶴岡で「ウィリアム・モリス 英国の風景とともにめぐるデザインの軌跡」がオープンしました

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4月20日より山形県鶴岡市の鶴岡アートフォーラムにて、「ウィリアム・モリス 英国の風景とともにめぐるデザインの軌跡」が開催されております。








東北地方でモリスの展覧会が開催されますのは、今回が初めてとなるそうです。

本展の開催を記念して、4月27日(土)にはウィリアム・モリス研究の第一人者として知られる藤田治彦先生(大阪大学名誉教授)による講演会が開催されました。
「ウィリアム・モリスの美術と工芸 -近代デザインの先駆者-」をテーマにした90分間のご講演の中では、130枚(!)ものスライドと共にモリスの生涯や作品についてお話いただきました。


ところで、本展にも出展されている《格子垣》という壁紙作品をご存知でしょうか?
格子垣にバラと小鳥が配されたこの壁紙は、モリスによる初期のパターンデザインを代表する作品です。

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藤田先生のご講演の中では、モリスと同時代に活躍した建築家E ・W・ゴドウィン(1833-1886)が、自身が手掛けたアイルランドのドロモア城内壁に、この《格子垣》と着物姿の女性を描いていたことを教えていただきました。

モリスのパターンデザインと日本的な美が、アイルランドのお城で共演していたということは、とても興味深いですよね。

会場内では、展示室内の格子状の壁面と並べて《格子垣》を展示して頂きましたので、展示室とモリスのデザインの調和をお楽しみいただけることと思います。

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ご存知の通り、モリスのパターンデザインの大半は植物をモチーフにしており、有機的な曲線を用いたデザインが多くあります。
一方で、この《格子垣》のように垂直に交わる直線を大胆に取り入れたデザインは他に類を見ない、珍しい例となります。
曲線を多用したパターンデザインと比較することで、それぞれのパターンがもつリズムに違いを感じていただけるかもしれません。

鶴岡アートフォーラムは鶴ヶ岡城跡の周辺に位置しており、建物西側の池はお城の外堀をイメージされたものだそうです。
カフェから眺める樹木と穏やかな水面からは、モリスが愛したイギリスの風景を身近に感じ取っていただけるでしょう。

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本展覧会は526()まで開催しております。
周辺には致道博物館や、SANAAの建築による鶴岡市文化会館など、見どころがたくさんありますので、ぜひこの機会に鶴岡へ足を運んでいただけますと幸いです。(TW)

関連リンク:
鶴岡アートフォーラム
格子垣(ウィリアム・モリスの世界)